美しい絵画を見て購入を決める時、その作品が版画であると購入を断念してしまう人がいます。
版画はオリジナルの作品ではないから価値が低い、そう思い込んでいる人も中にはいるようです。
しかし、何だこれはリトグラフなのか、と本当に残念がる必要があるのでしょうか。
リトグラフとは版画法の一つで、水と油の反発を利用するため板に傷を付けず平面のまま刷ることが出来ます。
直接板に書き込んで下地を作るので、木版画のように板を削る必要が無いので繊細なタッチを表現しやすい技法でもあります。
水彩画や油絵などの一点物とは違い、油性のインクが続く限り何枚でも印刷が出来るのが魅力ではありますがだからと言ってそれが偽物であるのかと言えばそうではありません。
リトグラフを用いたものであっても画家のサインがあればその作品は画家本人が手がけた本物ですし、価値の低いものとは言えません。
実際に版画作品で高額の値段で取り引きされているものは数多くありますし、仮にサインが無くても芸術的価値を認められればやはり高額で取り引きされるものもあります。
重要なのはどのような技法を用いて描かれたのかではなく、その作品に芸術的な価値があるかどうかです。
版画だからと残念に思わず、その絵の芸術的価値を見るようにしましょう。