リトグラフの魅力と価値

リトグラフとは、平版画という版画の技法のひとつです。
もともとは石を用いていたため、石版画とも呼ばれていましたが、現在ではより扱いやすいアルミ板を用いるのが一般的となっています。
リトグラフは、水と油が反発する作用を利用するものです。
作家が版面に油脂分の強い描画材(クレヨンやダーマトグラフ、インクなど)で絵を描き、それをもとに版を作ります。
印刷の際は、版にインクと紙を乗せて、プレス機で圧力をかけると絵を描いた部分だけが紙に刷られるという仕組みです。
18世紀末に発明された技法で、その自由な表現が可能なことから、現代でも多数の作家が手がけています。
リトグラフを活用した主な芸術家には、マルク・シャガールやアルフォンス・ミュシャ、パブロ・ピカソ、ピエール・ボナール、マウリッツ・エッシャーなどがいます。
版画というと、木や銅板などの凸版、凹版の方が馴染み深く、リトグラフのような平版画は一般人にはイメージしにくいかもしれません。
この技法では、作家が描画した繊細な線のタッチや、筆づかい、インクの効果など、描いたものをそのまま刷るできるのが特徴です。
また、版を重ねるにつれ独特の質感を増してきます。
もちろん版画なので、複数刷ることが可能です。
リトグラフの魅力は、作家が手で描いた絵そのものを、複数つくることができる、という点にあるでしょう。
とは言っても、大量印刷とは違って、印刷の都度それぞれに固有の番号(エディション・ナンバー)を付けて管理される、希少性の高いものでもあります。

最近のブログ記事